FUJIFILM X-M1 FUJINON XC16-50mmF3.5-5.6 OIS Ⅱ F3.5 1/15秒 ISO3200
■シリーズ最廉価標準ズームXC16-50mmのⅡ型■
FUJINON XC16-50mm F3.5-5.6 OISⅡはX-Aシリーズのキットレンズに採用されている標準ズームレンズで、ラインナップでは入門機の位置付けとなるXC型の1本。上位機のXF型に比べて明確なコストダウンが図られており、鏡筒はもろプラスチック製で外観はチープ、高級感や所有する満足感みたいなものには全く無縁なレンズだ。色はシルバーと黒があるが、比べるとシルバーのほうが特にチープ感が強い。その代わり重量は195gと軽量で、持ち運びはラクである。
この点以外特に描写に差があるわけでもないので、わざわざ買い換えるかどうか迷ったのだが、結果的には買い直してしまった。標準ズームとして考えた場合、寄れる寄れないは意外と使い勝手を左右するものだ。市場価格ではⅠ型とⅡ型の価格差はおよそ6~8千円程度のものなので、これから購入するなら回り道せず最初からⅡ型を選ぶことを強くお勧めしたい。
ところで実はこのレンズ、鏡筒だけでなくマウント部もプラスチック製である。軽量なレンズだからこれでも強度に問題はないのだろうが、あまりに割り切った仕様に若干の不安は感じなくもない。廉価機にはままあるが、経験上過去プラマウントで描写が優れていたレンズには出会ったことがなかったので、Ⅰ型、Ⅱ型ともにその描写力には本当に驚いた。
■単なるキットレンズではない高い実力■
それではサンプルショットを投下しよう。サンプルはすべてX-M1でRAW記録し、PC取り込み後Lightroomで現像・調整を行っている。まずは冒頭の増上寺だが、完全に日が暮れてからのショットでISO3200にも関わらず、X-M1のセンサーの良さも相まってディテールを潰さない重厚な雰囲気のショットとなった。開放F3.5であり多少描写が甘い感は残るも、夜間の手持ち撮影として考えると優秀なほうだろう。
FUJIFILM X-M1 FUJINON XC16-50mmF3.5-5.6 OIS Ⅱ F4 1/10秒 ISO3200
こちらも夜間でISO3200の手持ち撮影ショットとなるが、シャッタースピードが1/10にして手振れがよく抑えられているのがわかる。Lightroomでノイズを低減させたが、もともと高感度ノイズはあまり気にならない絵作りで、設定でISO上限を3200に設定しているが、ひょっとしたら6400でもいけるかもしれない。
FUJIFILM X-M1 FUJINON XC16-50mmF3.5-5.6 OIS Ⅱ F4.2 1/55秒 ISO200
ランチに寄ったSUBWAYでのショット。最短撮影距離が短いのでテーブルフォトも得意。
FUJIFILM X-M1 FUJINON XC16-50mmF3.5-5.6 OIS Ⅱ F5.6 1/180秒 ISO200
16mm広角端で桜を撮影。少し逆光気味だったのでX-M1の内蔵フラッシュを補助光として使い、ほぼ最短撮影距離付近まで寄って撮影してみた。通常マクロレンズでここまで寄ると花のアップになり背景など写らないが、このレンズなら背景まで広くフレームインできる。普通のレンズではなかなか撮れない構図だ。
FUJIFILM X-M1 FUJINON XC16-50mmF3.5-5.6 OIS Ⅱ F5.6 1/480秒 ISO400
50mm望遠端で前ボケを作ってみた。明るいレンズではないこともあり、どちらかといえばボケをつくるのは苦手だが、背景を選べば工夫次第でこれくらいの演出はできる。ただしボケはできても少々固めなのは仕方がないところか。なお晴天下での撮影であり、色の出方がすばらしい。
FUJIFILM X-M1 FUJINON XC16-50mmF3.5-5.6 OIS Ⅱ F16 6秒 ISO200
27mm付近でプラモデルを撮影。通常この焦点距離では最短撮影距離の問題でピントが合わないのでもう少し離れて撮影しなければならないが、広角の画角のままでピントが合うので、機体前部が広く写りより広角感を演出できる。今後プラモデルの撮影はこのレンズにしようかと思う。
一般的にキットレンズに採用されるレンズはあまりコストをかけないので描写はイマイチという場合が多いのだが、その点富士フィルムはキットレンズでしかも最廉価のモデルでも、鏡筒のコストダウンはしても光学的には妥協をしていないのが良心的というか企業体質として素晴らしい。しかも本製品は最短撮影距離が15cmと短く、広角端16mm(35mm換算で24mm)スタートと上位機のXF18-55 F2.8-4より優位なポイントもあり、なかなか侮れないレンズだ。Xシリーズには明るい単焦点レンズが多く揃っているので、ここ一番という時はそちらを使い、お気軽なスナップショットはこのレンズで、という使い分けにもぴったりかもしれない。
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